『コレクションする女』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『コレクションする女』
La Collectionneuse

美しき逃避行 Ⅱ
2009.4.18(土)~6.20(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『コレクションする女』La Collectionneuse

1967年/フランス/カラー/90分/35mm/フランス語

監督・脚本:エリック・ロメール
撮影:ネストル・アルメンドロス
音楽:ブロッサム・トーズ、ジョルジョ・ゴメルスキ
編集:ジャクリーヌ・レナル
出演:パトリック・ボーショー、アイデ・ポリトフ、ダニエル・ポムルール
フォトクレジット:© La Collectionneuse / Les Films du Losange - 1967
自身の画廊のオープンを間近に控えたアドリアンは、ロンドンに出張する予定の恋人の誘いを断り、久々の休暇と骨董収集家との商談のために南仏の友人の別荘に滞在する。そこには現代美術作家の友人ダニエルと、アイデという若い娘がいた。日の出とともに海と戯れ、暗闇の到来と同時に床につく。アドリアンの休暇は、静かに規則的に過ぎていこうとしていた。
個人主義のダニエルと違い、次々と新しい男性を連れ込む自由奔放なアイデ。最初は彼女の存在など諸共せずに、一人の世界と穏やかな時の流れに集中していたアドリアンだったが、次第にアイデの存在に心乱されていく。
 

作品について About Film

批評家として『カイエ・デュ・シネマ』を支え、数本の短編と一本の長編(『獅子座』)を既に監督していたエリック・ロメールは、1966年、〈教訓物語〉シリーズの続編として、まったく異なるトーンの作品を撮ることを決意する。『コレクションする女』は、実のところ、うわべのシンプルさとは裏腹に、妙に捉えどころのない作品なのだ(そう、まるで剃刀の刃をもつオブジェのように。ダニエル・ポムルール演じる造形作家の作品として、作中に登場するオブジェだ)。この作品は、1960年代のとあるパリジェンヌをめぐる風俗研究であり、前衛芸術についての考察であり、かつまた、ある種の「美的な」振舞い、芸術家や美術愛好家たちの極度に洗練された振舞いについての省察でもある。物語の中心をなす二人の男が他の登場人物たちと違っているのは、自己形成は独力ですべきだという高尚な考えをもち、社会性を斥け、派手ではないが洗練されたエレガンスを漂わせているところだ。そんなエレガンスを彼らが身につけたのは、「他人になれなれしくさせない」ため、ありきたりな社会人像をはねつけるためだ。そのダンディズムは、世紀末のそれ、あるいは作中でも語られるように、フランス革命以前の貴族たちのそれ、つまりは、自分たちの姿以外の何ごとをも気にかけない貴族たちの、見方によっては、来るべき未来に到来するであろう深刻な事態を予告していたともいえる貴族たちのダンディズムに重なるだろう…。モラルのダンディズムに裏打ちされた装いのダンディズム、パトリック・ボーショーとダニエル・ポムルールにとって、それは、月並みな考えや習慣化された在り様、他人とのあたりまえのやり取りの一切を拒絶することにあった…。

燃え立つ炎のような孤独、ただそれのみが、物語を通じて二人を導き、第三の登場人物を舞台に上がらせる。ある若い娘、どちらかといえば美しい、何より自然なことこの上ないこの娘は、サン‐トロペ近郊の、彼らと同じ屋根の下に暮らしている。そしてほどなく、二人の若者は、この野生児の前でいかなる態度をとるべきか、頭を悩ませることになるだろう。けれどもどう足掻いたところで、いずれは二人が二人とも、この野生児に誘惑されてしまうのだ。

彼らの心をかき乱し、挑発するこの娘、彼らの思い通りにならないこの娘を前にして、二人の青年が選んだのは、逃げだすこと、あるいはむしろ、身をかわすこと、見事巧みに振り切ることだった。そうでもして娘の存在を払い除けないことには、きっとその姿が頭の奥にこびりついたまま、引き剥がせなくなってしまうだろうから。

行き違い、思い違い、この作品においてはすべてが演劇的で、映画的だ。それは、ヌーヴェル・ヴァーグの立役者たちの自由奔放さ、当時の映画製作の倹しさから生まれたと言ってもいい。それでいて、すべてが一毫の狂いもなく、完璧なテンポで運ばれてゆく。ロメールは早くもこの作品においてすでに完璧に自らのスタイルをつくりあげ、登場人物たちにそれを体現させている。

『コレクションする女』は、見る者を夢中にさせ、挑発する映画であり、複雑な時代の複雑な証人である。突き詰めればそれはまた、ある闘いの肖像とも言えるかもしれない――物事において、また人生において生じる、自然なものと人為のものとの容赦なき闘いの肖像なのだ、と。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
4月18日(土)、4月25日(土)、5月2日(土)、5月9日(土)、5月16日(土)、5月23日(土)、5月30日(土)、6月6日(土)、6月13日(土)、6月20日(土)

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。