『アクロバット』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『アクロバット』
The Acrobat

ダンスⅤ
2007.9.8(土)~10.27(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『アクロバット』The Acrobat

1976年/フランス/97分/カラー/35mm​

監督・脚本:ジャン=ダニエル・ポレ
脚本協力:ジャック・ルールセル
製作:イリオス・フィルム、レ・フィルム・ドゥ・シェフリュ、コントルシャン、O.R.T.F
撮影:アラン・ルヴァン、クリスチャン・ガルニエ
音楽:アントワーヌ・デュアメル
振付:ジョルジュ&ロジー・フィルドマン
出演:クロード・メルキ、ローランス・ブリュ、ギィ・マルシャン、マリオン・ガム、ミシェリーヌ・ダクス
フォトクレジット:© Jean Daniel Pollet
公衆浴場のボーイの仕事を黙々と続けている孤独な青年レオン。彼は客のありとあらゆる気まぐれに応え、二人の同僚からのいじめにも耐え、若い女主人ヴァランティヌの命令に服従する、ひたすら相手にやられっぱなしの人生に甘んじている。

毎晩帰る家は、廃業したビストロを改造したアパートだ。一緒に住むいとこのリリーは婚約者とのデートに忙しく、レオンにかまってなどいられない。そんな彼は、向かいに住む娼婦たちとおしゃべりして、やるせない人生の寂しさをまぎらすのだった。なかでも美しく若い娼婦、フュメに心惹かれるのだが、まったく関心をもってもらえない。

ある日、レオンはタンゴに出会いすっかり虜になる。以来ダンスコンテストの最高峰に立つという唯ひとつの目標が彼の人生となったのだ。全てを投げ打ってタンゴの稽古に励むレオンは、フュメにダンスのパートナーになって欲しいと申し出る。素晴らしいダンサーでもあるフュメは彼の申し出に快く応じてくれた。

二人はダンス教師ジョルジュとロジーの指導のもと稽古を重ね、地方のダンスコンテストで次々と優勝をさらっていった。これを面白がって見ていたのは、ハンサムだが見掛け倒しのダンサー、ロベール・ポティエ(通称ラモン)である。彼は友人のレオンを励ますにも、自分がいかに女にもてるかを自慢せずにはいられない。

フュメを人生のパートナーとしても願うレオン。しかし、フュメはレオンとの結婚を拒み続ける。「まず仕事を変えなければだめ」と……
 

作品について About Film

甘くてほろにがいタッチのコメディ『アクロバット(L’Acrobate)』は、ヌーヴェル・ヴァーグと戦前フランス映画(ルネ・クレール、マルセル・カルネ…)の精神(ルビでエスプリ)のあいだをゆくジャン=ダニエル・ポレの作品で、現代フランス映画のなかでもひときわ異彩を放っている。

パリの公衆浴場(バン・ドゥーシュ)で働く内気で孤独な青年レオンは、あてもなく愛を探し求め、さまざまな出逢いを重ねながら、タンゴの競技ダンサーの頂点へと登りつめていく。この情熱が彼の人生を変え、映画に血肉を与え、そして真の奥行きをもたらす。
見せかけのお人よし、パリジャンの嘲笑、そして愉快で絶妙な距離感を保った傲慢さが、巧みなさじ加減で混ぜ合わされ、舞台設定と台詞に抜群なユーモアが生まれている。

映画の登場人物、すなわちオペレッタでおなじみのお針子、高級娼婦、街娼など世間の片隅に生きる人々(たとえば同監督作品「パリところどころ」の『サン・ドニ街』のスケッチにも顔を見せていた女優ミシュリーヌ・ダクスが秀逸)は、時代を超えてパリを描くになくてはならない要素であろう。

さて、物語は徐々にパロディから離れてゆき、至福の時を迎える。
見事なペアのダンス教師、ロジーとジョルジュによるタンゴレッスンの場面。これはサンジェルマン・デ・プレからほど近い、ヴァレンヌ通りのダンススタジオで撮影された。そこで二人は長年にわたり、まるで厳かな儀式のようにダンスのレッスンを続けてきた。
そしてペアのダンサーたちによる競技のシーン。ここでアラン・ルヴァンのカメラは長い移動撮影をしながら滑走し、時に快活に、時に優しく、踊り手の身体と旋回し、ダンサーのステップと演技に正確さと古典的アラベスクの優雅な造形美を与える。舞台を自在に動き回り、一夜限りのパートナーの腕のなかでミュゼット(バグパイプの一種)のリズムに我を忘れる悦び、それはダンスの永遠の真髄である。「クイック、スロー…クイック、クイック、スロー!」

スポットライトに照らされたダンスシーンが進むにつれて、映画のテンポは驚異と混り気なしの純粋なポエジーへと高まりを見せてゆく。しがないバン・ドゥーシュの使用人レオンはダンスフロアでアクロバット(曲芸師)へ、そしてチャンピオンへと変身したのだ。

タンゴ人気の再来を先取りした、この作品(編集はスザンヌ・バロン)は、いまだ一本の皺も刻まれず、古びることを知らない。またクロード・メルキとギィ・マルシャンの傑出した演技は、まだ遊び方を心得ていた、刺激的で庶民臭溢れるパリの情感を完璧なまでに表現している。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2007年9月8日(土)~10月27日(土) 毎週土曜日

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。