『バリ、最後の楽園』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『バリ、最後の楽園』
Bali, Le dernier paradis

ダンスⅢ
2007.5.19(土)~7.7(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『バリ、最後の楽園』Bali, Le dernier paradis

『レゴン -乙女の踊り-』Legong -Dance of the Virgins
1935年/アメリカ/65分/35mm/テクニカラー

修復:カリフォルニア大学映画・テレビアーカイブ

監督:アンリ・ド・ラ・ファレーズ
製作:ベネットピクチャーズ・コーポレーション
撮影:W・ハワード・グリーン
音楽:ガムラン・スカール・ジャヤ
出演:グスティ・プトゥ・アルス、ニョマン・ニョン、グスティ・バグス・マラ、ニョマン・サプラク

バリは世界でも他に類をみない宗教、文化を持った小さな島である。
イスラム諸国が広がるインドネシア諸島の中で唯一、14世紀からヒンドゥー教を奉じるこの島は、ネルーから「世界の朝」と呼ばれ、他のどこにもない、儀式と渾然一体化した独特の音楽と舞踊を創造し、守り続けてきた。オーストロネシアの基盤にヒンドゥ・ジャワ宮廷、あるいは中国伝来の演劇の影響が加わり、独創的で生気溢れる、常に活力にみちた混交が形作られた。
1930年代、西洋の一握りの芸術家たちによって、バリは再発見された。彼らは力をあわせ、膨大な資料を収集することとなる。フィルム、録音、人類学的文献、作曲、舞踊概論、いずれも大変優れた質のものである。彼らにはひとつの共通点があった。いずれもバリの舞踊とトランスに魅了されたのである。
アニエス・モントネー、2004年

『アクメッド王子の冒険』Die Abenteuer des Prinzen Achmed The Adventures of Prince Achmed
1926年/ドイツ/65分/35ミリ/モノクロ(染色)

修復:ドイツ・フィルムミュージアム・フランクフルト
フォトクレジット:© Primrose Productions "Licensed by British Film Institute on behalf of Primrose Productions"

監督:ロッテ・ライニガー
製作:コメニウス・フィルム
撮影:カール・コッホ
音楽:ウォルフガング・ツェラー

カリフ(イスラムの王)の誕生日、賑わう都に一人の魔法使いが現れる。魔法で作った<空飛ぶ馬>に魅せられたカリフは、魔法使いの望みのものと交換にこの馬を手に入れようと申し出る。しかし魔法使いはカリフの王女ディナルザデーを妻に望んだため、兄のアクメッド王子はその非礼に怒り、追い払おうとする。ところが逆に馬に乗せられ王子は空の彼方へ消えてしまう。
なんとか馬を操り、王子は地上へと降り立った。そこは魔物が住むワクワク島で、この島には美しい妖精の女王パリバヌーが住んでいた。水浴するパリバヌーを見初めた王子。やがて二人は恋に落ち、<空飛ぶ馬>で王子の国に帰ることに。ところが、魔法使いがパリバヌーを奪いとり、中国の皇帝に売り渡してしまった。一方王子は火山の大岩に打ち込まれてしまう。しかしこの火山には魔法使いの宿敵、善き魔女フォンフランベルグが住んでいた。魔女は二人をそれぞれ助け出したのだが、パリバヌーは追ってきた魔物と一緒に、ワクワク島へ連れ戻されてしまった。
取り残された王子はパリバヌーを探しに、再びワクワク島へ。パリバヌーが連れ去られた山の裂け目を開くには魔法のランプが必要だったので、怪物に襲われていたアラジンを助けるのだが、肝心のランプは例の魔法使いの手にあった。ここに善き魔女が二人を助けるためにやってきて、魔法使いとの対戦が始まる。魔術比べによって激戦を制したのは魔女であった。取り戻した魔法のランプで山の門を開き、パリバヌーを助け出すことができた一同は、アラジンの宮殿とともに封印されていたディナルザデーも取り戻し、皆でカリフの都に帰った。悲しみに沈んでいたカリフは、再会を心から喜ぶのだった。
 

作品について About Film

フランスの貴族で映画監督のアンリ・ド・ラ・ファレーズは人生の半分をパリで、もう半分をハリウッドで暮した。1925年、フランスで『ありし日のナポレオン』を撮影中のグロリア・スワンソンは、この魅力的な侯爵と恋に落ちる。二人はパリで結婚し、ハリウッドに移住。彼は同地で映画の仕事を続ける。やがて彼は別の女優、コンスタンス・ベネットを二番目の妻とする。本作品『レゴン』をプロデュースしたのは彼女である。

この作品は当時としては超大作だった。撮影にはテクニカラーを使用し、村人全員が動員された。絢爛たる儀式、舞踊、行列が監督の指揮のもとに執り行われ、その華やかさ、鮮烈さ、衣装や供物のきらびやかな色彩が余すところなくカメラに捕らえられた。演劇的かつ人類学的ともいえる考察を背景に、叶わぬ恋の物語が紐解かれる。ひとりの娘が青年に思いを寄せるが、彼が選んだのはその娘ではなく、妹のほうであった……
ヒロインをはじめとするバリ娘たちのあらわな胸元は米国でセンセーションを巻き起こし、これらの映像は検閲でカットされた。
しかし、この異国情緒溢れるハリウッド超大作は、バリを自由奔放なエロス(官能)が開花する最後の楽園として賛美し、当時の観客の夢をかきたてた。
この驚嘆すべき宗教儀式の脚色に、バリの女性美、そしてこのいわゆる「エキゾチック」な文化に対するひとりの西洋人映画作家の憧憬の眼差しが織り交ぜられている。

『アクメッド王子の冒険』はアニメーション史上初の長編映画である。影絵映画の技法を使い1923年から1926年にかけて制作されたこの作品には、ドイツ表現主義サイレント映画の偉大な才能が結集している。パウル・ヴェゲナー(究極のカルト映画『巨人ゴーレム』を監督し、マックス・ラインハルト監督の映画に俳優として出演)に見出されたロッテ・ライニガー監督のもと、撮影はカール・コッホ(後にジャン・ルノワールとともに『ゲームの規則』の脚本を執筆)、背景は特殊効果アニメーションのもうひとりの呪われた巨匠ベルトールド・バルトッシ(『観念』)と抽象映画の創始者ワルター・ルットマン(『伯林-大都会交響楽』)の二人が担当した。
『レゴン』から十年の時をさかのぼり、ヨーロッパ人のもうひとつの眼差しは、バリの影絵芝居に注がれていたのである。表現主義者ロッテ・ライニガーは、バリの影絵芝居において幕の裏側で光と影の効果を駆使した。そして、皮製のマリオネットを操る偉大な人形師ダランさながらに、映画という魔法のランプに照らし出された、影絵の純化された本質的なフォルムの動きによって、アラビアンナイトのお伽話を演出してみせた。

揺籃期の映画におけるバリ芸術のふたつの表情。豪奢と洗練の間で、ハリウッドとベルリンの間で……。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2007年5月19日(土)~7月7日(土) 毎週土曜日

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。