『パリところどころ』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『パリところどころ』
Paris vu par

エール・ドゥ・パリ
2006.10.28(土)~12.23(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『パリところどころ』Paris vu par

1965年 / フランス / 97 min / カラー / スタンダード / モノラル / ニュープリント版
後援:フランス大使館文化部 配給:ザジフィルムズ
フォトクレジット:©Les films du losange 1965


第1話 サン・ドニ街 RUE ST. DENIS
監督・脚本:ジャン=ダニエル・ポレ
撮影:アラン・ルヴァン
出演:ミシュリーヌ・ダックス (娼婦) クロード・メルキ (客)

パリ2区、風俗店や連れ込み宿が建ち並ぶ歓楽街サン・ドニ。メトロの駅ストラスブール・サン・ドニ駅近くのふたつの門、ポルト・サン・マルタンとポルト・サン・ドニの間を結ぶサン・ドニ大通り(Boulevard St-Denis)から、サン・ドニ通りとして長く続いている。
若く弱々しいレオンは、姉御風の娼婦を自分の狭いアパートに連れ込んだ。しかし、奥手な彼は、娼婦の幾度かにわたる誘いにもかかわらず、なかなか事に運べない。場つなぎに、他愛のない話をしたり、食事をつくったりして引き伸ばすが・・・。

第2話 北駅 GARE DU NORD
監督・脚本:ジャン・ルーシュ
撮影:エチエンヌ・ベッケル
撮影助手:パトリス・ヴィエルス
録音:ベルナール・オルシヨン
出演:ナディーヌ・バロ (オディール)  バルベ・シュレデール (ジャン=ピエール)  ジル・ケアン (見知らぬ男)

パリ10区にある北駅は名の通り、リール、ロンドン、ブリュッセル、アムステルダムなどに向かう際に利用する国鉄の駅であると共に、シャルル・ド・ゴール空港に行く近郊線や、入り組んだ地下鉄も四方に伸びるパリの重要な駅。オディールとジャン=ピエールは、北駅からはなれたアパートに暮らすカップル。アパートの前で始まった建設工事のことで、オディールは朝から機嫌が悪い。工事の文句から、結婚や日常生活のことにおよぶ不満が噴き出し、口論したオディールはカッとして家を出る。歩いて会社に向かう彼女に、一台の車がぶつかりそうになる。謝る男に、オディールは軽く受け流して去ろうとするが、男は送ると言って一緒に歩いてついてくる。男の話はミステリアス。今から旅に出ようと彼女を誘う。

第3話 サンジェルマン・デ・プレ St. GERMAIN-DES PRES
監督・脚本:ジャン・ドゥーシェ
撮影:ネストル・アルメンドロス
助監督・共同台本:ジョルジュ・ケレール
美術:アンドレ・ペロー
出演:バーバラ・ウィルキン (キャサリン) ジャン=フランソワ・シャペイ(ジャン) ジャン=ピエール・アンドレアニ (レイモン)

パリ6区のサンジェルマン・デ・プレ協会。そこからボナパルト通りを歩くとセーヌ河に出、ポン・デ・ザール(芸術橋)の先にはルーブル宮が見える。この界隈は多くの芸術家が集ったカフェ・ド・フロールなどと共にボザールをはじめ多数の学校もある。
学士院に近いセーヌ通り、瀟洒なアパルトマンのベッドの中、アメリカ人留学生キャサリン(カトリーヌ)は目を覚ます。前の日に出会ったジャンは、これからメキシコへ発つ、とせわしない。つれなくされたカトリーヌは怒って、デッサンの授業へと向かう。すると教室にはジャンがヌード・モデルとしているではないか。
学校を飛び出すとグレーのベントレー車に乗ってしつこく彼女を誘う男がいる。その車に見覚えのあった彼女は、誘いを受け、男の家に連れて行くよう言う。メキシコ大使の息子だと名乗る男の家は、さっきまでいたジャンのアパルトマンだった。

第4話 エトワール広場 PLACE DE L’ETOILE
監督:エリック・ロメール
撮影:アラン・ルヴァン、ネストル・アルメンドロス
出演:ジャン=マルク・ルジエール (ジャン=マルク)  マルセル・ガロン (犠牲者) マヤ・ジョス(メトロの女) ジャン・ドゥーシェ(客) フィリップ・ソレルス(客)

凱旋門を中心に12本の大通りが放射状に広がるシャルル・ド・ゴール=エトワール広場は、シャンゼリゼ大通りで観光客におなじみの8区と、高級住宅街16区との境に位置する。地下鉄を降りると、それぞれの大通りへ、広場をぐるっと回ることになる。
紳士服の店に勤めるジャン=マルクは、毎日決まったルートを通る。今日は地下鉄の電車の中でご婦人のヒールで足を踏まれてさえないスタート。その上、駅の改札を抜けると男にぶつかってしまう。謝って通り過ぎるが、男は因縁をつけジャン=マルクの傘を離さない。振り払った拍子に男は転倒し、彼の傘を握り締めたまま気絶してしまう。彼は恐ろしくなって店まで全力疾走する。数日間、新聞の事件欄を気にかけるが、どうやら例の件は載っていない。そんなある朝、地下鉄の車中でその男が・・・。

第5話 モンパルナスとルヴァロワ MONTPARNASSE & LEVALLOIS
監督:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:アルバート・メイスルズ
録音:ルネ・レヴェール
出演:ジョアンナ・シムカス (モニカ)  フィリップ・イキリ (ロジェ)  セルジュ・ダヴリ (イヴォン)

14区と15区の境にあるモンパルナスはボルドーなどに向かう国鉄も入りこむ大きな駅。ルヴァロワは現存しないが、メーヌ通り(Avenue du Maine)を挟んで劇場外のゲテ通りとは反対側にある現ジャン=ゼイ通り(Rue Jean Zay)で、速達で手紙を出すのも届けるのも可能な距離。
モニカは、モンパルナスの地下鉄付近の速達ポストに2通の手紙を投函する。投函した直後、彼女は、中身の手紙を反対の封筒に入れてしまったことに気付く。手紙の内容は、別々の二人の男との、今晩のデートの約束のことだった。慌てた彼女は、アーティストの恋人、イヴォンのアトリエに駆け込む。まだ手紙を読んでいないらしい彼に、事情を話し、どうにかごまかそうとする。しかし、彼は呆れて彼女を追い出す。モニカは、次にジャン=ゼイ・ルヴァロワ広場にあるロジェのガレージに向かう。速達はもう届いていた。モニカは、また同じように言い訳を始める。それを聞いたロジェは怒って彼女を追い出す。封筒の中身は、ちゃんと当人宛てのものだったのだ。

第6話 ラ・ミュエット LA MUETTE
監督:クロード・シャブロル
撮影:ジャン・ラビエ
美術・記録:エリアーヌ・ボノ
出演:ステファーヌ・オードラン (母)  クロード・シャブロル (父)  ジル・シュソー (子供)   ダニ・サリル(メイド)

ラ・ミュエットとは、16区の高台の高級住宅街で、ブローニュの森にもすぐ近くという立地。“ミュエット”とは“盲唖”という意味だが、この作品は室内劇仕立てにつくられている。映画はブルジョワ家庭の少年が通学する場面から、喧騒と共に始まる。
少年は、学校からラ・ミュエットにある邸宅に戻ると、メイドに迎えられる。母は、ぺちゃくちゃと長電話をしている。勉強のことを話そうと父の部屋に行くと、父はメイドといちゃついている。夕食では父と母がいつも口論。部屋に戻っても二人の口論が絶え間なく聞こえてくる。
ひょんなことから少年は耳栓をする。以来、両親の口論も何も彼の耳には聞こえない。その日は、朝から両親は口論をしている。休日なのに取締役会に出かける父を母は罵倒で送り出すが、足をすべらせて階段から落ちてしまう。何も聞こえない少年はいつものように学校に出かける。
 

作品について About Film

1965年のある晩、シャイヨー宮のシネマテーク・フランセーズでは、アンリ・ラングロワが監督たち同席のもと、「パリところどころ(PARIS VU PAR…)」を上映していた。客席はすし詰め状態だった。
多彩な監督陣が集ったオムニバス作品ということもあり、その後、映画は大成功を収めた。それぞれがパリの異なる地区をテーマとした物語の連作。この素晴らしい構成のもと、各短編からは当時のパリを舞台とした様々な物語が紡ぎだされる。そこに感じとられるのは、ヌーヴェル・ヴァーグのトーンとエスプリだ(ゴダールの『勝手にしやがれ』が公開されたのは、このわずか6年前のことだった)。
本作品は、その時代において、商業映画と作家映画(シネマ・ドトゥール)とが見事に両立できたものである。
最も強い印象を残しているのは、恐らくジャン・ルーシュの作品(『北駅』のエピソード)だろう。ルーシュはこのフィクション作品を撮るにあたり、それまでドキュメンタリー作品の撮影に使っていた手法を選択した。軽量のカメラ、生録りの音、テイクごとに変化していくアドリブの会話、最低限に抑えた編集作業。映画を一つのロングシークエンスとしてとらえることで引き伸ばされていく時間と、それによって引き起こる未確定な状態。
ここに映し出されるパリは、ヌーヴェル・ヴァーグ時代のパリの空気のままでありながら、同時にシュールレアリスム時代のパリでもあり、アラゴンの『パリの農夫』やアンドレ・ブルトンの『ナジャ』の文章から立ち現れるパリでもある ― 昼間の道のり、夜の道程。そこでは激しい愛と驚きへの渇望が、同じ足どりで辿られてゆく。
こうした時代に、これらの監督たちは自らの街を再発見しながら、映画を再創造することで私たちを楽しませてくれたのだった。には、実現不可能なことを夢見なければならない」、そして「夢見たことだけが実現されるのだ」。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2007年10月28日(土)~12月23日(土) 毎週土曜日

上映時間
11:00/14:00/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。