『地中海I』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『地中海I』
The MediterraneanⅠ

地中海
2003.5.24(土)~7.12(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

 

『地中海I』The MediterraneanⅠ

ほら、あおく澄んだ海
その胎内では、千の魚が
静かに鱗をうねらせる
あおく澄んだ海藻の世界
ほら、千の小石、太陽よりもまぶしい千の目
ほら、波が、踊り子たちが、
エメラルドの床の上をつま先立ちで
海のダンスを踊っている
パントマイムのように、軽やかに

ディラン・トーマス

(1930年12月28日『1930-1932 Notebook』より)



ラシオタ駅への列車の到着 Arrivée d’un train à La Ciotat
1897年/モノクロ/サイレント/45秒/リュミエール研究所


撮影:ルイ・リュミエール
フィルム中の人物:
マドレーヌ・コーレル、マルセル・コーレル、ジャンヌ=ジョゼフィーヌ・リュミエール、(マルグリット・リュミエール)、(ローズ・リュミエール)、シュザンヌ・リュミエール

本作品は、映画の黎明期についての多くの書物が述べるように1895年の作品ではなく、実は1897年のものである。1895年に行われたあらゆる上映会でこの作品はまったく上映されていないばかりか、この作品を見て観客が恐れをなしたと伝えられる、パリのグラン・カフェにおける「映画が初めて公式に上映された1895年12月28日」のプログラムにも入ってはいない。


サイコロ城の秘密 Les Mystères du Château du dé
1929年/モノクロ/サイレント/26分/ポンピドゥー・センター提供


監督:マン・レイ
出演:シャルル・ドゥ・ノアイユ、マリ=ロール・ドゥ・ノアイユ、ジャック=アンドレ・ボワファール、マン・レイ

パリを出たふたりの旅行者が、長い旅の果てにある現代的な城に辿りつく。そこでふたりはその城の秘密を知ろうとする。表情をかくした不可思議な登場人物は、この作品の出資者でもあるノアイユ夫妻の親しい友人たちが演じている。


地中海 Méditerranée
1963年/カラー/サウンド版/43分


監督:ジャン=ダニエル・ポレ
(協力:フォルカー・シュレンドルフ)
テキスト:フィリップ・ソレルス
音楽:アントワーヌ・デュアメル

フィリップ・ソレルスのテキストにのせて、象徴的なオブジェ(彫像、寺院、ピラミッド、闘牛)を日常のありふれたオブジェと比較することで、事物の「具体性」という性格を象徴的なオブジェに取り戻させている。映像は、それ自体輝きと優しさを湛えているが、地中海の暴力性もまた備えている。
 

作品について About Film

地中海が文明の源泉であるというシンボリックな側面は、本プログラム第1本目、ルイ・リュミエールの『ラシオタ駅への列車の到着』と映画との関係に重ね合わされる。映画の誕生を刻印する作品であり、海にほど近いフランス南部の小さな町で撮影された、映画史上もっとも初期の作品であるこの1本によって「地中海」シリーズの幕が開く。目配せのようなものだ。

『サイコロ城の秘密』は、かの有名な写真家マン・レイによって、友人であり庇護者でもあったノアイユ子爵夫妻[*1]
の別荘で撮影された。開放的な別荘の驚くべき建築—マレ=ステヴァン設計による—、映画の光、雰囲気、そこから漂ってくる軽やかさは、海岸の香りを醸し出している。シュールレアリスムの流れに近いこの作品について、マン・レイは次のように述べている。「この城の立方体のフォルムから思い浮かんだのは、マラルメの詩のタイトル『骰子一擲は断じて偶然を廃絶することはないだろう』だった。映画のテーマはこれだ。タイトルは『サイコロ城の秘密』としよう。いくつかの小道具を手に入れた。とりたてて面倒なものではなく、小さなサイコロと大きなサイコロを1組ずつ、それに絹のストッキングを6足だった。絹のストッキングは、映画に登場する人物みんなに頭から被らせ、神秘性と匿名性をつくりだす一助としようというつもりだった。用意したシナリオに従い、私がパリを発つところから撮影を開始した」。

第3本目の『地中海』は、いまだに、現代映画で最も重要なフィルム・エッセイとされている。その急進性によって開かれた領域は、未だ閉じられてはいない。ジャン=ダニエル・ポレが取り組んでいる、あるがままの事物との関係性というこの作品の中核をなす問題は、今でも現代性を保つものだからだ。ここでは、地中海という「概念」、あるいはその神話性についての「概念」を問い、遺跡や廃墟や事物が、現代的な日常の瞬間を想起させる事物と並置されることで、地中海という「概念」が荒々しい現実との対決を迫られる。

「『地中海』のために、私は3ヶ月半旅をし、この地中海を取り囲む15の国々を周りました。ピラミッドやギリシアの神殿、農民の祭りのシークエンスなどをゆっくりと撮影することができましたが、ドキュメンタリーを撮ることは拒み、また多様な主題を掘り下げることを自らに禁じました。だからこそ、ショット毎にひとつの事物を撮影したのです。編集のときにそれらのショットをまるで言葉のように、記号のように使えるようにするために。もはや葬り去られてしまったけれど、まだなんらかの合図を送ってくる様々な文化の表明をフィルムに収めました。どんなことがあっても、諸々の事物の自由なあり方を見詰めたかったのです」[*2]。

[*1]ふたりはジャン・コクトーの『詩人の血』や、戦前にスキャンダルを巻き起こしたルイス・ブニュエルの『アンダルシアの犬』製作の資金援助を行った。
[*2]ジャン=ダニエル・ポレ、『テレラマ』誌、893号、1967年


パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター/シネマテーク・フランセーズ・ディレクター)
アリックス・ドゥルアン(シネマテーク・フランセーズ付属ダンス・シネマテーク)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2003年5月24日(土)~7月12日(土) 毎週土曜日(6月21日を除く)

上映時間
11:00/14:30/17:00
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス  ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。