『スリ』| エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Studio

『スリ』
Pickpocket

地中海
2003.3.1(土)~3.29(土)

ル・ステュディオは銀座メゾンエルメス10階にある40席のプライベートシネマです。

「君の映画の中に人が魂と心情を感じるようでなければならぬ、が、と同時にそれは手仕事のようにして作られねばならぬ。」
ロベール・ブレッソン

(ロベール・ブレッソン著・松浦寿輝訳、『シネマトグラフ覚書—映画監督のノート』より)

 

『スリ』Pickpocket

1959年/モノクロ/75分 (DVD上映)​

監督:ロベール・ブレッソン 脚本/台詞:ロベール・ブレッソン
撮影:レオンス=アンリ・ビュレル 音響:アントワーヌ・アルシャンボー
製作:アニエス・ドラエ 製作主任:アニー・ドルフマン
音楽:ジャン=バディスト・リュリ 美術:ピエール・シャボニエ 編集:レーモン・ラミ
出演:マルタン・ラサール(ミシェル)、マリカ・グリーン(ジャンヌ)、
ピエール・レマリー(ジャック)、ジャン・ペレグリ(刑事)、ピエール・エテックス(スリ仲間)
フォトクレジット:©MK2 All rights reserved
ソルボンヌの貧しい学生ミシェルは、ある日、競馬場でスリを働き、その行為に魅せられていく。ミシェルには、病気の母親がいたが、母親の看病を隣人の美しい娘ジャンヌに任せっきりにし、スリの仲間たちとパリの街頭や、メトロの中、競馬場で盗みを繰り返していく。愛する母もこの世を去り、仲間たちが次々に逮捕されていきながらも、ミシェルは足を洗うことができず、危ない賭にでる。ついにミシェルは警察に捕まるが、刑務所の中でミシェルは、ジャンヌが長い間変わらず寄せてくれていた愛、そして自分の罪に目覚めるのだった。
 

作品について About Film

ロベール・ブレッソンは、その他の作品同様に『スリ』においても、救済を求める魂の行程を描いている。ひとりのスリの男の物語を越えて、この作品は恩恵についての思索となっている。窃盗、盗みの所作にはまるで天使のような軽やかさがある。その所作はほんの一瞬しか刻まれることはない。ブレッソンは、スリたちのテクニック、彼らの手の動き、その所作の敏捷さを明かすとき、目に見えないままのもの、つまり恩恵を得る瞬間や、罪が下される瞬間に光を当てる。そしてこの作品の物語はまさにそうした瞬間を巡って展開している。まるで私たちが予感していると思いながらも、本当は決してそれを見出すことのない虚無の縁を示し、浮き彫りにしているかのようである。『スリ』は、寄りのショットの連続で構成されていながら、逆説的にも、画面の非常に深い縦の構図を宿しているように思える。それは、なによりもまずこの作品が絶対的自由について、言い換えれば、究極的な自由意志についての作品であるからだ。罪人の宿命と芸術的創造との間の奇妙な対比。どちらの場合にも、それは昇華、救済の形態が問題であるのだから……。

こうした盗みの行為は、この作品において、いかなる娯楽にも結びつかないし、どんな快楽とも関係がなく、懲罰や苦行の観点からのみ理解できるものである。しかしながらその苦行から生まれる法悦は、まさにそれこそが重要なものであるために、決して排除されることはない。主人公の青年が盗みを働くとき、彼の手の中をすり抜けていくものは何だろう。青年は、冷たく乾いたむきだしの紙幣に触れ、その紙幣を自分のポケットに滑り込ませ、トランプ・ゲームの際に、再び取り出し、仲間と儲けを分配する。

そしてその金は、自分の部屋の壁の下にある隠し場所に収められる。金銭は青年に取りつくことは決してなく、通り過ぎていくだけである。彼の指の間、肌の上、ポケットの中をすり抜けていくだけである。金は、青年自身の道程と同様に特異でありながら取るにたらない行程を辿っているのだ。

パトリック・バンサール(ル・ステュディオ プログラム・ディレクター/シネマテーク・フランセーズ ディレクター)
 

上映スケジュール Schedule

上映日
2003年3月1日(土)~3月29日(土) 毎週土曜日
 

会場 Access

銀座メゾンエルメス ル・ステュディオ
(東京都中央区銀座5‐4‐1 10階 TEL: 03-3569-3300)
 

予約 Reservation

※このプログラムの上映は既に終了いたしております。