サラ・ジー展 | エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Forum

サラ・ジー展
Sarah Sze by Sarah Sze

2008.2.8(金)~5.11(日)

2008年最初の展覧会では、生活世界に存在する一般のオブジェクトが有機的な性質を帯び、日常とは別のイマジネーションを喚起させるような世界を作り出す、サラ・ジーによる新作インスタレーションを展示いたします。

サラ・ジーは1969年ボストン生まれ。現在ニューヨークを中心に国際的に活躍するアーティストです。大規模なインスタレーションとして展開される彼女の作品の多くは、欧米をはじめとする美術館で制作されており、日本では金沢21世紀美術館に所蔵作品がありますが、個展としては本邦初の開催となります。ジーの作品は、画鋲やペットボトル、薬、チューインガムといった、日常的に手に入る量産されたごくありふれた「もの」を素材としています。生活世界で既にひとつのアイデンティティを持つそれらは、ジーによって規則性や配列を伴う構成の中に取り込まれることで、別の次元の存在となって現れます。ジー自身が展覧会会場に何週間も滞在し制作するというのも特徴であり、彼女の気配が展示空間には色濃く残ることとなるでしょう。

一見、非常に現代的に思えるジーの手法ですが、生気のない素材にいかに息を吹き込み、形を出現させるかという、彫刻の伝統的な挑戦に基づいています。実際、無機的な量産品の集積である、作品にはランプや扇風機といった人工的な動力が組み込まれています。それは常に動き続ける都市特有の有機性を思わせ、強迫・妄想観念にも似た多数の「もの」たちが規則的に存在する姿は無数の生き物の群れを思わせます。偶然と必然、はかなさと力強さ、規則性と乱雑さ――ジーの世界はまるで振り子のように、相反する出来事の間を往来します。

見慣れたはずのものから別のイマジネーションを導き出す。それはエルメスも同じように探し続けている日常の中に潜むファンタジー、もう一つの世界の発見です。メゾンの中で静かに繁殖してゆくジーのファンタジーは、大都市が育んだもうひとつの仮想風景かもしれません。

アーティストメッセージ

蠅がうなるのが聞こえた ―――― わたしが死ぬ時 ――――
エミリー・ディキンソン


蠅がうなるのが聞こえた ―――― わたしが死ぬ時 ――――
部屋の中の静けさは
空の静けさのようだった ――――
烈(はげ)しい嵐と嵐の間の ――――

まわりの目は ―――― 涙も乾きはてていた ――――
息はじっとつまっていた
あの最後の攻撃を待ちうけて ―――― 王なる方が
部屋の中に ―――― 目撃される時の ――――

わたしは形見の遺言をした ――――
わたしの譲れる部分は何もかも
署名して譲り渡した ―――― その時だった
蠅が割り込んできたのは ――――

憂鬱な ―――― あやふやでにぶい羽音とともに ――――
光と ―――― わたしとの間へ ―――― 入って来た
それから窓がぼやけた ―――― それから
見ようとしても何も見えなくなった ――――


岩波文庫「対訳 ディキンソン詩集 アメリカ詩人選 (3)」 亀井俊介編訳より
2008年2月8日

 

アーティストプロフィール Artist Profile

サラ・ジー Sarah Sze

1969年、ボストン生まれ。ニューヨーク在住。
 

開館時間 Opening Hours

月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
日   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)

基本情報 Information

会期
2008年2月8日(金)~5月11日(日)
休館日: エルメス銀座店の営業日に準ずる
入場料:無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5‐4‐1 8階 TEL: 03-3569-3300)