「幽霊たち」ジョン・ケスラー+ポール・オースター展 | エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Forum

「幽霊たち」ジョン・ケスラー+ポール・オースター展
Ghosts by Jon Kessler and Paul Auster

2004.2.24(火)~5.9(日)

本展覧会では、現代アメリカ文学の作家ポール・オースターと、ヴィジュアル・アーティストでありオースターの義理の兄弟でもあるジョン・ケスラーによるコラボレーションをお送りします。
現代アメリカ文学を代表する作家の一人として忘れてはならないのがポール・オースター。彼の名を不動のものにしたのが85年から86年にかけて発表され反響を呼んだ「ニューヨーク三部作」でした。その中の短篇『幽霊たち(原題:Ghosts)』*は単調ながらどこか謎めいた戯曲のような小説で、登場人物にはブルー、ホワイト、ブラック、ブラウンとまるで記号のように色の名前が付けられています。
本展ではこの『幽霊たち」の世界が2人の手によってフォーラムの空間にインスタレーションとなって出現します。過去にもオースターとのコラボレーションを行っているケスラーが、その独創的なアイディアと魔法のようなしかけを使って、オースターの『幽霊たち』を単なる文学にとどまらせず、2004年のエルメスのテーマである「色とファンタジー」あふれる世界の中で表現します。

アーティストメッセージ

最初にポール・オースターの作品が思い浮かびました。というのも、ポールの著作はまさしくカラーとファンタジーという概念を美しく具現化しているからです。この本に出てくる人物には色にちなんだ名前がつけられていて、また、本の中には色に触れた美しい描写がいくつも見られます。言葉を読んで読者の頭に思い浮かぶ連想という遊びと視覚的なイメージはそれだけで想像を刺激します。ポール・オースターは探偵小説を脱構築したことで知られています。私の方は、その反対に脱構築されたものを構築することに興味があります。しかしその構築とは、本展示の中の、本のページやビデオや録音音声には表われないかもしれない徴のようなものを使ってのものです。
ポールとは前にも『ワード・ボックス』(1992)という作品でコラボレートしたことがあります。ポールから文章をもらい、友人のクリストファー・ウールにパネルへ色を塗らせ、箱形に組み立てました。
メゾンエルメス、フォーラムのインスタレーションには、日記のような要素があります。その中で私は妻の実家のあるミネソタ州で3人の義兄弟の体の石膏型を作りました。私の家族の経歴を簡単に説明しておきますと、ハストヴェット家は、ミネソタ州ノースフィールドのノルウェー系アメリカ人の一家です。父親のロイド・ハストヴェットはセント・オーラフ大学の教授でしたが、今年の2月2日に他界しました。義父とその妻のエスターとの間には4人の子供がいて、全員娘でした。長女のシリはよく知られた作家で、ポールと結婚しました。次女のリヴは作品中「ホワイト」を演じるスティーヴ・レメスの奥さんです。そして私の妻であるアスティがいて、末っ子が本作品中「ブルー」役になったブルース・カトラーと結婚したイングリットとなります。娘夫婦のうち3組はニューヨークに暮らしているので、私たちは毎年クリスマスにはノースフィールドの実家に戻り、ツリーに本物のキャンドルを灯し、代々伝わるレシピで作ったケーキやクッキーの山に囲まれて、伝統的なノルウェー式の休日を過ごします。ポールと私が『幽霊たち』の録音をしたのもこの実家でしたし、全員が十分リラックスした中で、鼻にストローを差して息をしながら、20分ほど石膏で顔を固めたのもこの家でした。今回の展覧会は義父に捧げるつもりです。
このインスタレーションは、ポールと私がシガーやシングルのモルトウイスキーを片手に、書籍・映画・映像情報間の違いについていろいろ交わした会話から誕生しました。私たちふたりとも、それぞれの仕事で大切にしているのは遊びと偶然です。ですから、今回のインスタレーションで、ビデオカメラで写真や文章や色紙をランダムに映していくようにしたのも、そんな理由からでした。
さらにありがたいことに、ポールの著書を日本で翻訳している柴田元幸氏が参加してくれました。このような公私に渡るつながりで人生が築かれていくことを、私たちは大切に思っています。私個人にしても同様に、1992年に大阪で初出展した際にオーストリアのギャラリーの紹介で初めて出会った藤本幸三氏が今もなお友人であり、私のプロジェクトに賛同してくれています。

ジョン・ケスラー
2004年2月

アーティストプロフィール Artist Profile

ジョン・ケスラー John Kessler

1957年ニューヨーク生まれ。80年にニューヨーク州立大学を卒業。その後80年代にはニューヨーク近代美術館やシカゴ現代美術館、ヒューストン現代美術館、ロンドンのサーチ・コレクションなどでグループ展や個展を開催し、その東洋的風合いの強い機械じかけのオブジェは高く評価された。作品はMOMAやホイットニー美術館などに所蔵されているが、現在はアーティストとしての活動のほかにコロンビア大学ビジュアルアート学科長をつとめている。

ポール・オースター Paul Auster

1947年ニュージャージー生まれ。コロンビア大学で英文学と比較文学を学んだ後、メキシコ、フランスなどを放浪。74年に帰米し、詩の創作やエッセイの執筆などを始める。85年から86年にかけて発表された小説『ガラスの街』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』のいわゆる「ニューヨーク三部作」でその名を不動のものにした。また、映画『スモーク』の脚本や『ルル・オン・ザ・ブリッジ』の監督・脚本など、現在もその多様な才能をいかして活躍中である。

 

開館時間 Opening Hours

月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
日   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)

基本情報 Information

会期
2004年2月24日(火)~5月9日(日)
休館日: エルメス銀座店の営業日に準ずる
入場料:無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5‐4‐1 8階 TEL: 03-3569-3300)
機材協力: ソニー株式会社
            ソニーマーケティング株式会社