「歴史の歴史」杉本博司展 | エルメス - Hermes

GINZA MAISON HERMÈS

Le Forum

「歴史の歴史」杉本博司展
L’histoire de l’histoire by Hiroshi Sugimoto

2003.10.20(月)~12.28(日)

本展覧会は、現代美術家である杉本博司のセレクションによる古美術品約25点と、初公開となる杉本の大型作品「海景」シリーズを共に見せる、という初めての試みです。2002年直島に完成した護王神社をさらに理想化した新作模型も展示、地下石室からの「海景」の眺めまで再現されています。
「人間の記憶の古層」を写真表現によって示そうとしてきた杉本の「海景」に写るのは、有史以前より生命を育み、現在、そして未来を内包する海です。杉本自らが選んだ古今東西の粋を集めた美術品を鑑賞すると、その先にはこの海がひらけています。茫漠とした時間の流れを遡って歴史を振りかえるその後に、私たちの胸を去来するものは何でしょう。あるいは、詩人アドニスの言うように、「ひとつの未来」が見えてくるかもしれません。

アーティストメッセージ

「歴史には書かれた歴史と書かれなかった歴史とがある。また書かれた歴史にしても常に加筆訂正が行われてきた。民族の歴史や人類の歴史にしても人はその時代時代の信じる歴史を信じて、またひとつ歴史を追加してきたのだ。
物質の歴史にしても又同じことが言える。世界の起源は長いあいだ宗教の範疇であった。古代宗教の各派は魅力的なその起源を神話として競ってきた。そして人々は疑いもなくそれを信じて暮らしてきた。その後ルネッサンス期に及んでコペルニクス的転換が訪れた。科学によって物質の変化についての法則性が検証されるようになる。しかもそれは実験によって確実に証明できるのである。あとはひとつひとつの物質の連鎖のひもをほどいていけば宇宙の起源にまでたどりつけるだろうと思われた。こうして我々はビッグバンにまでたどり着いた。すると今度は宇宙のはじまりのビッグバン1秒前を考える人もあらわれてきた。
こうして又物質の歴史にも加筆訂正は書き加えられ続けるだろう。
芸術の歴史にも一言ふれておこう。洞窟壁画の時代から人間はこの混沌とした世界にあるひとつの目でみることのできるビジョンを持つことを欲した。そしてその役を担ってきたのが芸術家といわれる人々なのだ。その役割は今でも少しもかわってはいない。宗教や科学がいかにあなたを説得しようとも、そこには必ずこぼれ落ちる闇の部分がある。そしてその闇の中にちらばった光り輝く微粒子をすくい集めて、その内をうかがい知る為の装置を作る、その闇の暗号解読装置が芸術と呼ばれるものである。
書かれた歴史と書かれなかった歴史、それからもうひとつ、これから描かれる歴史がある。ここにご紹介するのは歴史のほんの少しの断片であり、あなた自身が組立てる未来の歴史の組立キットの為のパーツである。」

杉本博司
2003年10月​

アーティストプロフィール Artist Profile

杉本博司 Hiroshi Sugimoto

1948年東京生まれ。立教大学経済学部卒業後、渡米。ロサンジェルスのアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。卒業後、74年からニューヨークを拠点とする。70年代後半から、アメリカ自然史博物館のジオラマを大型カメラで精密に描写した「ジオラマ」シリーズで注目を集める。映画館をスクリーン上の光のみで長時間露光した「劇場」シリーズなど、明快なコンセプトと構成力、卓越した技術による写真作品を数々発表。80年代には世界中の海を同一手法で撮影する「シースケープ(海景)」シリーズでさらに高い評価を得、90年代には世界の20世紀モダニズム建築にとりくんだ「建築」シリーズなどを手がけている。2002年には直島の「護王神社」を設計し話題を呼んだ。
89年に毎日芸術賞受賞。2001年ハッセルブラッド国際写真賞受賞。

 

開館時間 Opening Hours

月~土 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)
日   11:00~19:00(最終入場は18:30まで)

基本情報 Information

会期
2003年10月20日(月)~12月28日(日)
休館日: エルメス銀座店の営業日に準ずる
入場料:無料
会場: 銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5‐4‐1 8階 TEL: 03-3569-3300)
企画協力: 児島やよい
出品協力: 株式会社ベネッセコーポレーション/直島コンテンポラリーアートミュージアム
            ギャラリー小柳