セーヌ=サン=ドニ:希望を託し人材を育てる

地域とコミュニティ

セーヌ=サン=ドニ:希望を託し人材を育てる

パンタンとボビニーにあるエルメスのアトリエを合わせると、広さは合計10万平方メートル、従業員の数は2,000人に上ります。従業員数は過去10年で2倍になりました。この地域の魅力の1つは、適性のある伸びしろ豊かな人材が揃っていること。 エルメスは、地域に根ざした事業活動を行うことが重要だと考えています。失業率が高いこの地域においては、地域社会や現地の経済関連団体と協力し、起業家を支援する「Réseau Entreprendre 93(レゾー アントルプランドル 93)」といった団体への支援も行っています。

エルメスは1992年、皮革アトリエをフォブール・サントノーレ通りからセーヌ=サン=ドニ県へと移し、「Cité des Métiers(シテ デ メティエ)」と庭園を開設しました。2013年にはジムや託児所も設置。託児所は地域住民のために一定数が確保されています。さらに2年後には、「Espace Jean-Louis Dumas(エスパス ジャン=ルイ・デュマ)」が完成。この建物は、研修を行ったり、年2回、メゾンのコレクションを世界各地のバイヤーに公開する会場としても使われています。今やパンタンの住民にとって、エルメスの存在は切っても切れない関係へと成長してきました。メゾンは他の企業とともに、労働者の町として栄えたこの地域の経済再生に取り組んでいます。

カルティエ=ブレッソンとシュゾールの工場-1906年頃 パンタン自治体アーカイブ - 2Fi/220

エルメスは、セーヌ=サン=ドニ県での雇用創出を牽引するだけでなく、さまざまなイニシアティブを通じた人材の育成を行っています。 セーヌ=サン=ドニで働く2,000人の従業員のうち、400人は県内在住。パンタンの人材センターでは求職者と雇用者をマッチングさせる機会を積極的に設けており、県内に住む従業員の割合は増え続けています。

エルメスはまた、「Réseau Entreprendre 93(レゾー アントルプランドル 93)」の活動に2003年の設立当初より参加しています。他のメンバーとともに、事業計画の選定や資金援助、コーチングの面で支援を行っています。支援対象となる事業計画に共通しているのは、雇用創出の可能性が高いという点です。この団体の活動を通じて、16年間で175の企業が新設され、1,700人の雇用が創出されました。女性理容師による理髪店「La Barbière de Paris(ラ バルビエール ドゥ パリ)」、デジタルアーツ専門学校「Simplon(サンプロン)」、「Tshirt Corner(Tシャツ コーナー)」、バスケットボールコートを展開する「Hoops Factory(フープス ファクトリー)」、ボルダリングジム「Arkose(アルコーズ)」など、多くの成功例が生まれています。年数を重ねるにつれ、エルメスと団体との絆はさらに深まっており、現在10名程のエルメスの従業員が「Réseau Entreprendre 93(レゾー アントルプランドル 93)」が排出した若者たちを指導しています。

パンタンでは、自治体を支援し職人やデザイナーの育成センター「Maison Revel(メゾン ルヴェル)」を設立。人材センターへの支援を通じて「Atelier des métiers(アトリエ デ メティエ)」も開設されました。

エルメスCEOのアクセル・デュマは2017年、地域公共組織「Est Ensemble(エスト アンサンブル)」と「企業地域憲章」に署名し、パートナーシップを強化。この組織は9つの地域から構成されており、エルメスが拠点を置くパンタンとボビニーも含まれています。その目的のうちの1つが、地域の経済発展や雇用創出への企業参加の促進です。

「エルメスは、私たちの活動を支えてくれる大切な存在です。設立当初から支援が続いている点だけでなく、多くの従業員が実際にサポートしてくれているのです。エルメスの支援は、『経験豊富な経営者による起業家のサポート』という枠組みを大きく超えるものです。広報や物流など、さまざまな専門知識を提供することで、専門性が高い課題や広範な課題に対応する力を養えます。そうした専門知識を得て起業したいと望むすべての候補者に門戸を開けるよう、エルメスとともに、このイニシアチブをさらに大きくしていきたいと考えています」

レア・ポンス、非営利団体「Réseau Entreprendre 93(レゾー アントルプランドル 93)」代表

レゾー アントルプランドル 93の2017年受賞者 © Erwann Masson


新たな足跡をたどって​
 

  • エルメスのシルクロード

    長きに渡って続くことになるエルメスのスカーフの系譜の第一歩として、1937年にロベール・デュマがデザインした《オムニバスと白い貴婦人のゲーム》。以来、ツイルのカレはリヨン地方にあるアトリエで製作されています。メゾンエルメスは、テキスタイル部門の長年のパートナーが行う、古くから伝わるノウハウの継承を支援し続けています。
  • リヨンの絹「ソワ・ド・リヨン」を讃えて:製版

    2006年、マルセル・ガンディ社が、創業者の死去に伴ってエルメスに加わりました。カレのモチーフの精密性を担う、ブルゴワン=ジャイユー発のテキスタイルプリント製版業者は、永続への道を選んだのです。 1948年以来、同社の職人たちは、「ア・ラ・リヨネーズ」と呼ばれるプリントに用いるシルクスクリーンの製版について、アーティストのデッサンを分解するステップから担当しています。
  • リヨンの絹「ソワ・ド・リヨン」を讃えて:プリント

    1960年代にアトリエAS社初の顧客となったエルメスは、1987年に同社の筆頭株主となりました。世界でもここだけという工業ツールを用いたアトリエASは、ピエール=ベニットに位置するテキスタイルプリントの業者で、カレの製造には欠かせない存在です。色彩を熟知したアトリエASの職人たちは1948年以来、色を組み合わせ、”料理”し、生成りの絹に平らなスクリーンを用いて着色します。

エルメスの足跡

  • Les femmes et les hommes

    エルメスの男女合わせて1万14284人の従業員のうち、最も多いのは職人で、その数は5180 人にのぼります。人が核となる手仕事の世界には、変化がつきものです。職業訓練を行い、技術を伝承し、成長を促し、健やかで幸せな生活を守り、絆を築く……。 エルメスはこうしたアプローチを通して、エルメスで働くすべての人それぞれの自己実現をサポートすることを目指しています。
  • The Planet

    エルメスは、約20の製品部門において、自然がもたらしてくれるこの上ない素材を、いっそう美しく輝かせるよう努めています。エルメスの職人による手仕事には、レザーやシルク、織物、木材、クリスタル、貴金属といった素材への敬意が絶えず込められています。
    貴重な資源を守り、最適な用途を考え、再び価値を与え、形作る……。私たちには、こうした資源を持続可能な形で使うという義務があります。
  • The communities

    エルメスは世界に52の生産拠点を有し、そのうち41カ所はフランス国内にあります。また、世界各地に300以上の店舗を展開しており、それぞれの地域において、サプライヤーやパートナー、地域との密接な関係を築いています。暮らしを豊かにし、協調し、革新をもたらし、積極的に取り組むこと。地域に根ざした企業として、持続可能な絆を築いていくこと、それが私たちの役割なのです。